
会社づとめを辞めて芸人の道を歩むことを選んだ、お笑いコンビ〈写実派〉の芍薬アカデミーさんのエッセイと日記の本。
「苦労もあるけど、希望に満ちた」のようなものでもなく、「この道」を選んだこと、その結果のその後から現在までの日常の中での出来事、出会う人、思うこと、感じることなど、希望のようなものは希望として、苦しいことは苦しいこととして、そのままに書かれていると思います。
たぶん、誰にとっても生きているということは、良いことも、悪いこともどちらもあって、どちらかをどちらかで包み込んで総括できるものでもなく、生きる、あるいは生きているというのは、そういうことだよねという感覚とともに読みました。
誰かの日常や人生のことを本で読むとき、参考としてなぞるよりも(なぞること自体できないし、詮なきこと)、「そういうこともあるよね」と肯定することが、自分を肯定することのようにも思いました。
ちなみに著者の芍薬アカデミーさんは、昨年交点でも出版記念展を巡回してくださった、写真詩集『東京』の詩を担当されたMAIさんです。
・
(以下、著者による紹介文)
『地獄のパルタージュ地点』
エッセイ8編と2023-2024年の日記をまとめた小冊子。
会社員をやめてお笑い芸人をやると決めた頃、ライブに出演する日々、相方のこと、誰にもしてこなかった話。
地元の新潟から二度目の上京をした。
ままならない生活とは裏腹にわたしはこんな毎日をどこかで求めていたのかもしれない。
光っていて残酷で愉快な失敗に溢れた日々を。
B6サイズ76ページ
2024年11月 発行
・
著者:芍薬アカデミー
B6版 ソフトカバー 76ページ
初版:2024年11月