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「この詩集を、未知の読者、未来の人びとに捧げます。」
──編者 西尾勝彦
尾形亀之助や天野忠に影響されて詩を書き始めたという、奈良在住の詩人西尾勝彦さんに編集していただき、尾形亀之助の新詩集を発行いたしました。
装画に、版画家でイラストレーターの保光敏将さんをお迎えし、装幀をクラフト・エヴィング商會さんにご担当いただき、これ以上なく素朴で贅沢な詩集の誕生です。
校正は航星舎の高松正樹さんがご担当くださり、本文はすべて原典をあたって、旧仮名遣いを新仮名遣いに改めました。
今なお、鮮やかにくり広げられる亀之助の詩を、どうぞご堪能ください。
「白い手」
うとうと と
眠りに落ちそうな
昼 ――
私のネクタイピンを
そっとぬこうとするのはどなたの手です
どうしたことかすっかり疲れてしまって
首があがらないほどです
ね
レモンの汁を部屋にはじいて下さい
「無題詩」
から壜の中は
曇天のような陽気でいっぱいだ
ま昼の原を掘る男のあくびだ
昔 ――
空びんの中に祭りがあったのだ
(以上、版元紹介を引用)
・
著者:尾形亀之助
編集:西尾勝彦
装画:保光敏将
装幀:クラフト・エヴィング商會
発行:七月堂
初版:2021年10月
仕様:四六判変形、仮フランス装、154P